追加調査について

 追加調査とは、高知ユニットセンター独自の計画・予算で、追加調査への参加について同意をいただいた方を対象に、実施する調査です。事前に環境省の承認を受けて実施します。

「乳児期の感染症及びアレルギー疾患の防御因子としての母乳栄養―母乳栄養を促す支援の在り方の検討―」

 母乳には成長に必要な栄養素の他、様々な病気・アレルギーから赤ちゃんを守る免疫物質が含まれています。授乳時にお母さんと触れ合うことで、赤ちゃんの精神的な発達にも影響を与えるとも言われています。母乳育児にはたくさんのメリットがありますが、お母さんと赤ちゃんの状況によっては、母乳で育てることが難しいこともあります。
 そこで、妊娠中の母乳育児に関する意識を質問票調査により実施し、出産後の母乳育児とその母親と子どもの環境について検討することとしました。また、乳汁状況と出産後の子どもの感染症やアレルギー疾患との関連も検討します。

「アレルギー疾患・アレルゲン感作と腸内細菌の関連に関する研究」

 アレルギー疾患を持つお子さんが急激に増えており、私たちの生活の変化がその増加に関係していると言われています。しかし、その関係はいまだはっきり分かっていません。
 最近の研究で、アレルギーには腸のなかにいる細菌群(「腸内フローラ」と言います)のバランスが関係していることが分かってきました。
 そこで、エコチル調査ユニットセンターがある、高知大学(高知ユニットセンター)、富山大学(富山ユニットセンター)、千葉大学(千葉ユニットセンター)、兵庫医科大学(兵庫ユニットセンター)、東北大学(宮城ユニットセンター)の研究グループで、腸内フローラのバランスがアレルギーとどのように関わっているかを調べています。

「アレルギー疾患・アレルゲン感作とHelicobacter pylori 感染の関連に関する研究」

 Helicobacter pylori(ヘリコバクターピロリ)は胃がん発生の促進因子であり、感染時期は小児期と言われています。しかし、現状は若年者ピロリ感染に対する明確な診療指針はなく、その根拠となる小児期の感染状況についてもいくつかの都道府県で報告されていますが、そのエビデンスレベルは高くはありません。また、感染率には食生活など風習の異なる地域によって差があると考えられ、いまだ、高知県ではその報告はされていません。
 一方、アレルギー疾患は近年著しく増加しており、医学的のみならず社会的にも大きな課題となっています。急激な増加の理由はライフスタイルの近代化や衛生仮説と関連していると推察されていますが、その機序は明らかにはなっていません。
 そこで、高知ユニットセンターでは、日本における小児期のピロリ感染について高知県での状況を調査し、Helicobacter pylori感染とアレルギー疾患の発症の関係も調査することとしました。

「小児精神神経発達への睡眠時無呼吸症候群の影響及び治療介入研究」

 小児の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、情緒・行動面に加え知的側面にも影響を及ぼすことが知られていますが、海外の研究は5歳以上を対象としたものです。子どもの知的・情緒・行動面へのSASの影響と早期介入効果を明らかにできれば、早期治療の必要性を積極的に啓発できると考えました。SASの質問紙は日本ではまだ標準化されたものが無いことから、高知県のエコチル調査に参加にしている2~5歳の小児に①既存の6つのSASの質問紙を和訳した質問紙と、②子供の情緒・行動の発達には「子どもの強さと困難さのアンケート」の質問紙を送付しました。
 質問紙は4,132/6,756件(61.2%)回収しており、健常者の1%以下の症状を異常とすると、SASの25の質問項目のうち15の質問項目において、少なくとも週4-5回以上認められれば異常といえると考えられました。子どもの知的・情緒・行動面へのSASの影響については、現在解析中です。

「M−CHAT 及びESSENCE-Q 質問票による自閉症スペクトラム症(ASD)など 神経発達障害早期発見及び環境化学物質・社会的環境要因の発達障害への影響解明」

 近年、自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの神経発達障害について関心が高まっています。その原因は、遺伝・環境などが複雑に絡み合っていると言われていますが、まだはっきりとはわかっていません。そこで、2017年3月、こうちエコチル調査参加児のうち1948人を対象に、M-CHATとESSENCE-Qという、国内外で活用されている質問票を使って、お子さまの発達についてアンケート調査を実施し(回収数:1178)エコチルの全国調査でいただいてきた妊娠中の血液や質問票の答えと、追加調査アンケート調査のこの発達のアンケートの結果を比較・分析中です。※

※集計結果の一部といただいたコメントへの回答は、2017年12月発行の「エコチル調査報告書 パパ・ママの気になっていること」をご覧ください。

「幼少期にみられる摂食障害と神経発達の問題との関連について」

 神経性やせ症などの摂食障害は主に思春期以降の女性に多く発症しますが、1990年代後半から小学生でも患者さんが出てくるなど、低年齢でもかかるケースが増え、小さい時からのサポートの重要性が高まってきました。しかし、小さい頃からの食べ方に関する傾向や、問題がある場合の原因について、世界的にもまだ詳しいことはわかっていません。この追加調査では、ヨーテボリ大学(スウェーデン)と高知大学の研究者が協力をして、スウェーデンと日本で同じ質問票調査を行っています。質問票は2018年12月に6533名の方に郵送され、2019年3月末時点で3556名の方にご回答いただきました。今後、お答えくださったお子さまの成長の記録をいただきながら、小さい頃からの様子との関連や日本とスウェーデンとの比較等の分析をする予定です。