お知らせ
高知大学医学部附属病院 産科婦人科 深谷先生からのメッセージ
エコチル調査が開始されました
高知大学医学部附属病院
産科婦人科 深谷 孝夫
10万人のお母さんと赤ちゃんとに参加してもらう大規模な環境要因に関する疫学調査が、いよいよ日本全国で開始されました。高知ユニットセンターの一員として参加しております高知県内の各参加医療機関はもとより高知大学医学部附属病院でも、平成23年2月1日に記念すべき最初のお母さんの登録がなされました。
これからお産まで、定期的にお母さんやおなかに入っている赤ちゃんの健康状態が、エコチル調査の一環として観察されることになります。お母さん方は、お産までの間に数回の血液検査・尿検査を受けるとともに産婦人科医あるいは助産師によって妊婦健診が行われます。エコチル調査の特徴は、赤ちゃんがお母さんのお腹に入っている間の環境要因も調べます。そのために、血液検査や尿検査に用いられた検体の一部が検査され、含まれている化学物質の曝露が測定される予定です。
お産の時には臍の緒からも採血され同じように検査が行われます。生まれた赤ちゃんは主に小児科のスタッフへバトンタッチされ発育・発達の観察や環境要因などの検査が行われます。
今回の研究が環境省で企画され、実際に高知で行われることが決定するまでには、高知県の関係者の方々の並々ならぬ努力がありました。このような状況の中で、おなかの中にいるうちから13歳に達するまでの子ども達を対象として、長い年月を必要とする疫学調査がとうとう高知で開始されとても嬉しく思っています。研究の成果により得られた環境要因とその分析、さらには分析による環境要因の改善など、将来の子ども達の発育・発達に活用されるためにはまだまだ長い月日が必要です。
しかし、その第一歩を踏み出すことが出来ましたことは、おおげさに言えば人類が月世界に一歩を印したことと同じレベルかも知れません。
これから各地域でのお母さんの登録がなされると思います。結果がでるまでは長い月日が必要ですが、「高知で子ども達を育むことは素晴らしい!」という成果を発信するために、多くのお母さん方の参加を心からお待ちしております。