ごあいさつ

~バトンをつなごう、未来の子どもたちへ~
参加児もエコチル調査も新たな一歩へ

高知大学小児保健・環境医学研究センター
エコチル調査高知ユニットセンター
センター長 菅沼 成文

こうちエコチル調査へのご理解、ご協力をありがとうございます。

2011年1月より開始したエコチル調査、先頭を走るエコチルキッズが2024年4月には中学生になりました。そして、エコチル調査自身も新たな一歩を踏み出しました。

既に、ホームページや会報誌などでもお伝えしているように、エコチル調査にご協力をいただく期間は、当初、お子さまが13歳になるまでの予定でしたが、40歳程度まで延長することとなりました。そして、小学6年生になった参加者を対象に、まずは、18歳までご継続いただけるようお願いをしているところです。2025年度と2026年度も、お子さまが6年生になるご家庭を対象にお願いを続けていく予定です。

この調査期間延長の背景には、少しずつ調査結果が明らかになっていく中で、エコチル調査が国内外で大変重要な国家プロジェクトとして認められてきたことがあります。また、40歳程度までの追跡調査期間となれば、三世代にわたって健康と環境の関係について調べることとなり、未来の子どもたちの健康と環境について更に多くのことがわかってくることになります。

SDGs (Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))でも謳われている通り、環境は私たちが次の世代に引き継ぐ大切なバトンのひとつです。そして、エコチル調査開始時にはお母さんのお腹の中にいた子どもたちが、次世代を担うランナーとして、この調査の主役となってきました。実際にお会いできる小学6年生学童期検査と詳細調査だけでなく、乳歯収集調査、10歳以降お子さまにも記入していただく質問票調査などを通じ、頼もしいランナーたちの姿に、スタッフ一同、嬉しい気持ちでいっぱいです。

みなさまから頂いた貴重なデータをもとに、高知ユニットセンターからは26編の論文が発表されました。全国のユニットセンターからは、約580編(全国データを用いた論文497・追加調査を用いた論文82)の英語原著論文が世界に向けて発信されています。また、エコチル調査のデータをもとに、妊娠中の望ましい体重増加についての指標が作成されたほか、新聞や「たまひよWEB」などに調査結果がわかりやすく紹介されたり、高校の保健体育の教科書へ掲載されたりするなど、一般市民の方々への成果還元も色々なところで目に留まるようになってきました。

エコチル調査は、その開始直後に起こった東日本大震災をはじめ、豪雨や猛暑など多くの自然災害、そして、新型コロナウィルス、ウクライナ侵攻、中東和平問題など激動の世界を乗り越えながら進んでまいりました。さらに気持ちを引き締め、環境というバトンを引き継ぐランナーひとりひとりを見守りながら、高知ユニットセンターは一丸となって邁進してまいります。引き続き、みなさまのご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。



令和7年1月